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"いい道連れがいると、旅が短く感じられる。"
(アイザック・ウォルトン)
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#「コワーキングツアー」&「Beyond the Coworking」をセットで開催
9月に久しぶりにコワーキングツアーを開催します。今回は「Beyond the Coworking」と同時開催、しかも2日蓮チャンでやることになりました。
「Beyond the Coworking」は、テーマに沿って参加者みんなでダイアログ(対話)するイベントです。
今回のテーマは以下です。
9月16日 うのベース:「協働・共創」
9月17日 bench!:「まちづくり」
それぞれのテーマにおいて、ローカルコワーキングがどういう立ち位置にあり、どういう役割を担うのかを話し合います。
詳しくはこちらのFacebookページをご覧の上、ぜひご参加ください!
#15のコワーキングが起ち上げて利用者が運営を引き継いだオンラインコワーキング「みんコワ」は24時間365日「ただいま」と言えるホーム〜トーキング・コワーキングVol.81
一昨日の「トーキング・コワーキングVol.81」は、オンライン上のコワーキングスペース「みんコワ(みんなのバーチャルコワーキングジャパン)」の運営に携わる石本祐介さんをゲストにお迎えして配信した。石本さん、そしてご参加いただいた皆さん、有難うございました。
例によってYouTubeにアーカイブして一般公開しているので、見逃された方は、ぜひ、こちらをご覧ください。
みんコワのウェブサイトはこちら。
今回、配信が始まる前からコメントが次々に入って、何ごとかと思ったら、石本さんの背後に大勢の顔が映っていた。みんコワの中でこの番組のパブリックビューイングをやっていて、その様子がそのまま画面に流れている。全国各地の人たちが、同じ時間に集まって一緒に見ている。こちらがそれをまた見ている、という妙なことが起きていた。
以下、利用者だった石本さんが運営に回るまでと、みんコワで日々何が起きているかを紹介する。
利用者が自発的に運営側に回った
みんコワは2020年4月13日にスタートした。コロナ禍のさなか、緊急事態宣言を受けて営業を自粛していた大阪のコワーキングスペース「オオサカンスペース」を運営する大崎さんが、各地のコワーキングスペースに呼びかけてスタートしている。
実はその前に、オオサカンスペースのメンバーだけで集まるトライアルをやっていて、石本さんはその時から利用者として参加していた。
「リアルなコワーキングスペースに行けないから、その代わりにオンラインでメンバーが集まれる場所を作ろうっていうのが、一番最初のとっかかりです」
そこから話が広がり、15のコワーキングスペースが集まって起ち上がったという。
そこに新しく来た人に使い方を説明する受付係を、当時は運営者が持ち回りで担当していた。石本さんは最初そこに入っていなかったが、自分から手を挙げてその受付に加わっている。コミュニティの運営をやってみたかったのかと訊いたら、そういう気持ちはまったくなかったと言う。
「頼まれてやるとかじゃなくって、体が動くじゃないですけど、できることは普通にやりますみたいな。ゴミが落ちてたら拾うとか、イベントがあったらみんなで片付けるとか、あるあるじゃないですか。あのノりがまったく同じ形で再現されてたんです」
石本さんの本業はプログラマーで、日頃からインターネットの世界にいる人でもある。オンラインコミュニティの仕組みそのものへの興味もあったという。
ぼくは、利用者も運営する人と一緒にそのコワーキングを維持し、もり立てていくのがコワーキングの理想の形だと思っている。利用料金を払う人と使ってもらう人という「vs」の関係は、コワーキングには似合わない。地元のインディーズバンドを地元の人が応援するように、利用者が自分たちのコワーキングを支える形を、Cat Johnson氏はインディー・コワーキングと呼んでいて、日本でもそうしたコワーキングは増えている。みんコワはそれをオンラインで6年やってきている。
インディー・コワーキングについては以下を参照あれ。
今日のアウトテイク#186「インディー・コワーキング、かくあるべし」(2024-05-22)|カフーツ伊藤
「普通のコワーキングスペースって、オーナーさんの色がめちゃめちゃ濃く出るじゃないですか。このコワーキングスペースはあの人みたいな。みんコワはあんまりそれがなくって、いろんな運営者がいて、運営協力者は誰でもなれるんです」
当番の曜日も決めていない。新しい人が来た時に誰が対応するかも決めず、気がついた人が行く。同じ日に何人も入ることもある。アクティブに動いているのは6人ほどで、その全員が常駐して見張っているわけでもなく、アイデアを出す人、裏方を担当する人とそれぞれに役割がある。
ちなみにうち(カフーツ)は「間借りコワーキング」といって、カフーツを使って自分で自分のコワーキングを運営してもらう仕組みを用意している。その日はカフーツではなく、たとえばAさんのコワーキングであって、営業時間も料金もその人が決める。ぼくは端っこの席で一利用者として仕事をしている。コワーキングを使う人が、自分のコミュニティを形にして見せる機会があったほうがいい、と思ってやっている。
カフーツがはじめた「間借りコワーキング」とはなにか:今日のアウトテイク#418(2025-01-09)|カフーツ伊藤
昨日の「間借りコワーキング」で早速コラボ始動の気配がプンプン:今日のアウトテイク#433(2025-01-24)|カフーツ伊藤
運営費は利用者の寄付で賄われている
ブラウザでみんコワにログインすると、スペースを上から俯瞰した画面になる。コワーキングテーブル、集中するための1人席、マイクをオフにするゾーン、初心者用の様子見テーブルがあって、起ち上げに加わったコワーキングスペースの名前を持つゾーンもある。初めての人は様子見テーブルに吸い込まれるように座り、みんながそこへ捕まえに行く。
このシステムを起ち上げの時は、集まった15のコワーキングスペースが費用を出し合って運営していた。そのスペースが運営から退く際に、利用者が運営に関わる方針に切り替わり、同じタイミングで運営費を寄付で賄う仕組みができた。
寄付、つまり利用料金は設定していない。かといって寄付をしないと使えないわけでもなく、したい人がする。金額も決まっておらず、Stripeを使って月額かワンタイムかを選べる。実に民主的。
「コワーキングの5大価値」にもシェアの精神があるが、利用する人が払える額を自ら決めてする寄付は、その考え方にぴたりと合う。ちなみにオランダのSeats2meetは、自分の持っている能力を提供して誰かを助けるのなら利用料金は無料、その代わり会議室は有料という仕組みを10年以上続けている。これもシェアの精神のひとつ。
利用者自らイベント企画を持ち込んでいる
みんコワのサイトのカレンダーには予定がびっしり入っている。朝活はひとそれぞれだが、早い人は5時台から来る。カメラはオフでもOKで、朝のお顔の準備ができていない人も、そのままログインして自分の時間を過ごせる。今日やることを書くシートは用意してあるものの、書かなくても使える。
8時40分から55分まではラジオ体操の第一と第二をやっている。これは利用者からの持ち込み企画で、「私やりたいんですけど」と言ってきた人がそのまま主催者になった。
「利用者さんが、もうみんな自分のスペースやと思ってくれてるんです。イベントを打つ練習にもなりますよ、と伝えています」
平日の12時から13時はみんなでお昼ごはん。夜9時からのハッピーアワーは、ノンアルコールも歓迎。お酒を飲みながら仕事をする人、今日はもう飲むぞという人、その横で黙々と作業する人が混ざり合っていて、なかなかカオスだという。
木曜もくもく会はテーマを決めていない。自分のやりたいこと、やらないといけないことを各自が持ち込む。みんコワはオンラインでも各自のやることはリアルなので、部屋の片付けから、雪かき、洗車、さらには鶏小屋の掃除まで、実にさまざまなもくもくが始まる。
最後の30分は自己紹介と成果発表で、デザイナーの人が描いている絵を見せ、石本さんはプログラムを書いている画面を見せる。そこから、詳しい人教えてください、がつながっていく。この飲み会ももくもく会も、起ち上げ当初から続いていて300回を超えている。
利用者の数は、朝から晩までで延べ30人ほど。ただし、昨日の30人と今日の30人は違う。夜中でも誰もいない時間はほとんどないというから、常時接続そのものが成り立っている。←ここが続くポイントだと思う。
みんコワはコワーキングというよりコリビング
「お昼も一緒に食べるし、朝起きて寝るまでずっと一緒にいてるから、もうコリビングなんですね」
これはストンと腑に落ちた。それぞれ自宅にいたり職場のデスクにいたりして別々の部屋にいるのに、真ん中にみんコワがある。朝起きたらとりあえずログインする習慣になっている人もいて、石本さんはみんコワに住んでいると言われるらしい。
いつ来ても誰かがいる、というのは大きい。何年かぶりに来る人がいて、環境が変わって来られなくなっていたけど戻ってきました、と言われるのが嬉しいという。出張先のホテルから入ってアウェイでも安らげる、夫の転勤で住むところが変わっても繋がり続けられる、というコメントも番組中に入った。
利用者の顔ぶれは、エンジニア、デザイナー、ライターとリアルのコワーキングに近い。加えて農家の方が2人いて、事務処理の時に入ってくることもあれば、スマホで農作業の様子をそのまま見せてくれることもある。桜が咲いた、畑に花が咲いたという便りも、各地から入ってくる。いいですねぇ。
休職中の人、転職のために勉強している人も入ってくる。子育てをしながら仕事をしている人も多く、コワーキングに行きたくても行けない、という人がたどり着く。海外からも、フランスの菓子職人、イギリスで日本語を教えている大学の先生、タイ、ノルウェーと、時差を越えて参加している。
そして、利用者同士で仕事も生まれている。「こういう人を知りませんか」と人を探して声をかけてくる利用者も多く、石本さん自身も一緒に仕事をしたことがあるという。リアルなコワーキングと同じ事が起こっている。
ただ、みんコワにログインしていない人に伝えたいことをどう伝えるか、というのは今も模索中だという。
以前はFacebookでの発信で用が足りていたのが、Facebookアカウントを持っていない若い人が増えて、告知が伝わらなくなった。Xは一方的な発信の場として使い、新たに公式LINEに登録してもらって月1回お知らせを送る形を試している。なお、運営側のやり取りにはDiscordを使っていて、これは元々使っていたSlackで過去ログが90日で見えなくなるのを機に移った。
そういえば、Discordは前回ゲストにお迎えした岡山のHo.kuruの杉原禎章さんの話にも出てきた。なかなかこれというツールに落ち着かず、試行錯誤を繰り返しているコワーキングも多いと思う。
いまやみんコワはAI検索でもオススメされている
そんな中、面白いことに「AIに訊いたらみんコワを勧めてもらいました」という人が増えているという。検索から来ましたよりも多いのではないか、と石本さんは見ている。コメント欄にも、ChatGPTに教えてもらったという方がおられた。
検索の仕方が単語から自然文に変わり、それに答えるのも検索エンジンからAIに移った。自宅でひとりで作業していると集中できない、と書けば、コワーキングという語を使わなくてもみんコワが出てくる。これまではオンラインとかコワーキングというキーワードが思いつかなかった人にも、みんコワの存在が伝わるようになった。
ちなみに昨今のAI検索では、コワーキングが自分で発信するだけでは十分ではなくなっている。例えば、もくもく会に参加した、AIの勉強会が面白かった、という利用したした人のレビューやSNS投稿があるかどうかが大きい。つまり、第三者の記録がそのまま評価として拾われていく、とカナダでコワーキング専門に検索エンジンのマーケティングを手がけるTaylor Mason氏は言っている。
コワーキングとはホームなり
さて、いつもの4つの質問に答えていただいた。石本さんはこの4つに答えるために、みんコワで運営ミーティングを開いてみんなの答えを聞いてきたという。自分の言葉で答えるより、そのほうがみんコワらしいから、というのが理由。
1.これからやってみたいことは?
「もっともっとみんコワを利用する人が増えたらな、というところですね。そこはいつもあります」
石本さん個人としては、と角度を変えて訊くとこうなった。
「ビジネス的にもっと大きくしたいな、という夢はあります。どうしたらいいというイメージはまだないんですけど、企業とコラボしたりとか、そういう夢はありますね」
同じ課題は、リアルのコワーキングも抱えている。集まってワイワイしているだけでなく、そこでコラボが起きて新しい価値が生まれ、収益になり、ローカル経済が回る。デスクを貸すのではなく、来る人が持っている能力や技術や情報や人脈を掛け合わせて、その成果をみんなで分け合う。ぼくは、コワーキングがそういう役割を担ったほうがいい、というか、担えると考えている。
2.課題としていることは?
「必要としてる人にリーチできてない、というところですね。コワーキングスペースに来たら解決するのになというお話がたくさんあるし、人を紹介できるのにと思うのに、じゃあコワーキングスペースに行こう、というふうに結びついてない。みんコワはオンラインだからもっと来られるはずなのに、本当は利用してほしい人に知ってもらえてないところは課題です」
コワーキングスペースの認知率は約6割だが、実際の利用率は4%に過ぎないという調査結果もある。
これは日本に限った話でもなく、海外のニュースレターを読み倒していても、まだまだコワーキングの役割が社会的に認知されているとは言い難い。
例えば、どこのまちにも公民館があり、地元の人にはあそこは大体こういうことをするところだと判っている。ぼくは、全国1,788の自治体すべてにコワーキングが整備され、公民館と同じぐらい認知され、かつ市民インフラとして利用される社会になることが必要だと考えている。
3.これからコワーキングを始めたい人へのアドバイスは?
「みんなで参加する、というのが大事なんじゃないかな。どんな風に関わってもらうか、自分が何を提供できるかなというところで、自分が自分がっていう風にやるとちょっと難しいかもしれない。みんコワはみんなが盛り上げてくれるから成り立ってるので、みんなでつくるやり方がいい気がします」
賛成。一方的にオーナーが発信し続けるのとは違う、ということ。ただ、最初に旗を立てる人が、誰の何のためにやるのかという軸になる世界観や価値観を持って、それを表現しておく必要はある。誰でもOKですと言うと、かえって誰も来ない。みんなでつくるところだと言い切れば、それに共感する人がやってくる。みんコワはそれをやってきた。石本さんたちはそれを文化と呼んでいる。
チェーンのカフェはどこの店に行っても同じサービスが受けられて、知らない土地でも戸惑わない。コワーキングをそれと同じものと考えている人もいるが、そんなはずはない。コワーキングは集まる人たちがつくるコミュニティだから、顔ぶれが違えばそこに醸成される文化も違う。違っていていいし、違っていなければおかしい。
みんなで参加して、そのみんなが作る文化を大事にする。それがコワーキングの原点。
4.石本さんにとってコワーキングとは一言で言うと?
「私にとってコワーキングはホームです。ただいま、みたいな。出張で地方に行って帰ってくる時は、家に帰る前にお土産を持っていくみたいな感じで」
「ホーム」は「ホームグラウンド」という意味でもあり、「家」という意味でもある。この番組で同じことを言った人は過去に3人ほどいる。ただいまと言って帰ってきたら、お帰りと言う人がいる。そういうところ。判る。
みんコワが6年続いているのは、オンラインだからでも、いいツールを選んだからでもない。受付も朝活もラジオ体操ももくもく会も、利用者が自分から引き受けて、みんなで運営してきたから。
各地のコワーキングが自分のスペースのメンバーだけでオンラインのコミュニティを持ちたいと考える時、まずどのツールにするかで悩みがち。しかし、みんコワを見ていると、順番が逆だと思える。
運営者だけではなくて、参加するみんなで、どうすればここを居心地よく続けられるだろうかと考えるところからはじめたらどうか。ここから帰属感が生まれ、そこを軸に文化が育まれる。そして、ゴミが落ちていたら言われなくても拾う、あのノりが再現されるかどうかが、オンラインコミュニティが続くか続かないかを分けているのではないか。そう思う。
お時間ある方はビデオでぜひ石本さんの言葉をお聞きください。
ということで、今日はこのへんで。








